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レセコン・電カル連動の注意点

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今回は、診療予約システムとレセプトコンピュータ・電子カルテのシステム連携を考える場合に、考慮しなくてはならないことを補足します。前回前々回と連携のメリットとデメリットを考察し、費用対効果を鑑みた検討が必要とのエントリーを書きました。今回はその他にも考えておくべきことがあるので、簡単にまとめたいと思います。

1. セキュリティ対策で考えるべきこと
システムを連携するには、データの受け渡しをするためのネットワーク通信が必要になります。この際に気になるのが、セキュリティ対策です。結論からいうと、セキュリティ上のリスクは確かに増えますが、それよりもコスト面や運用面の負担増加のほうが問題ではないかと思います。

セキュリティ上のリスクについては、外部ネットワークに接続されていなかったレセコン・電カルが外部へのルートを持つことになりますので、確かにリスクは増えます。しかし、この点に関しては機器の設定等によりセキュリティを高めることで、かなりのリスクを低減できると考えてよいでしょう。実際、個人情報保護マネジメントシステム(PMS)の実務では、技術的な対策を講じられたネットワークセキュリティの残存リスクよりも、内部者の悪意や人為的ミスによる漏えいのリスクのほうが高いと評価することが多いです。これは、クラッキング(ハッキング)のターゲットになる可能性がある大病院などと比べて一個人院が標的にされる確率は低く、それよりも、規模の大小に関わらず起こり得る人為的なリスクの方がよほど高いと見積もることができるからです。

とはいえ個人情報を取り扱う以上は、できる限りのセキュリティ対策を講じなくてはなりません。診療予約システムとレセコン・電カル連動のためのセキュリティ対策は、ネットワークのセグメントを分けたり、固定IPを利用することでアクセス制限を行うことなどが考えられます。そして、このようなセキュリティ面での対策は初期的にも必要ですし、継続して運用していく以上メンテナンスについても検討しておく必要があります。つまり、機器等の故障などが起こった場合、再設定したりする必要が出てくるということです。

診療予約システムとレセコン・電カルを連動させる場合には、データ受け渡しのための端末を間に1台設置するのが常套手段ですが、これらの端末も含めてセキュリティを「ガチガチ」にしておかなくてはなりません。よって、どれか1つの機器が故障したら「セキュリティ上の対策を講じたうえ」で復旧させる必要があります。当然、その分費用も時間もかかりますし、スタッフが知っておくべき注意事項やセキュリティ上の知識なども増えてきます。これがコスト面や運用面での負担増の意味するところです。

「電カル・レセコン連動を費用対効果で考える」で書いたように、システム連携にはあまり大きなメリットはあるとは言えず、かえって余計な作業が増えることすらあります。その連携を実現させるために、院内ITに運用面や金銭面でのコストを増やす必要があるでしょうか?システム部門がある大企業や大病院なら必要かつ可能かもしれませんが、ほとんどのクリニックにおいては院長が「医師」であり「経営者」であり「IT責任者」です。この状況において、どこに費用と時間をかけるべきか考えてみてください。「省力化しようとしたら、いろいろ雑用が増えて面倒になってしまった・・・」というのは、あまりスマートとはいえません。集中すべきは医療であり、経営だと思います。

2. 「連携の不具合」という新たな問題
逆説的ですが、システム連携をすることによって、「連携の不具合」という新しい問題を抱えることになります。連携を前提につくられたシステムでも、そもそも別々のものであれば一時的な不具合などが発生することはよくあることです。例えば、同じメーカーのレセコンと電子カルテでも連携がうまくいかないこともあるぐらいですので、別々のメーカーがつくった診療予約システムとレセコン・電カルの連携においては一時的な不具合が起こることは免れません。元々は連携しなくても使えるシステムなのに、連携させることによって「連携の不具合」という新しい問題が生じるわけです。

不具合がすぐ直るかどうかはわかりませんが、その間それぞれのシステムは連携せずに使うことができます。これは連携の不具合であって、それぞれのシステムに問題が発生したわけではないからです。連携しなくても使えるものを連携させることによって新しい問題の種を蒔いたようなものですが、ほとんどの方は事前にこんなこと考えません。なぜなら「連携=省力化」であって、連携が新たなデメリットを生むとは想像できないからです。しかし、実際にはシステムを増やしたり連携させようとすれば、従来より不具合や問題が起こりやすくなります。システム連携をするということは、そういった問題と付き合っていくと決めることでもあるのです。

以上、診療予約システムとレセコン・電カル連動で注意しておくべき補足点についてまとめてみました。読んでいただいた先生方には「連携=省力化」というイメージだけでなく、「連携が新たに作り出す金銭面・運用面の負担がある」ということもイメージしていただければと思います。

それではまた、次回のエントリーで。
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関連記事: レセコン・電カル連動を費用対効果で考える(順番待ち版)
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レセコン・電カル連動を費用対効果で考える(順番待ち版)

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今回も前回に引き続き、診療予約システムとレセプトコンピュータ・電子カルテとのデータ連動について、「順番待ち制」のクリニックの場合で見てみたいと思います。

連動1. 患者データの連動
患者データの連動とは、予約システムで作成する患者さんのデータと、レセコン・電カルで作成する患者さんのデータの重複登録を避けるために、一方で作成したデータを他方にコピーするということです。前回ご説明したとおり、既存患者さんのデータは予約システム運用開始前に「一括インポート」すればよいので、この話は「新患」だけが対象となります。順番待ち制の場合、患者さんは直接来院されますので、レセコン側で患者データを作成をすると予約システムにも患者データがコピーされるというのが一般的でしょう。一見この流れで問題はないような気がします。

しかし、「ネットから順番待ちした新患」はどうでしょうか。ネットから順番待ちする新患は、「氏名」「生年月日」「連絡先」などを登録するようになっているはずです。この場合、来院されたらレセコンでも新患登録して、「A. 患者さんが登録した予約システム側のデータと紐付ける(マッチング)」か、「B. 患者さんが登録したデータは捨てる」という処理が必要になってきます。

診療予約システムとレセコン・電カル連動のマトリックス

なお、このA.B2つのパターンは、診療予約システムが患者さんのメールアドレスを取得するタイプか、そうでないかによって分れます。メアドを取るシステムの場合は、患者さんがつくった患者データの中にアドレスがあり、レセコンのデータにも共有する必要があるためマッチング処理となります。メアドを取らないシステムの場合は、スタッフがレセコンに登録する患者データを「正」として、患者さんが作成したデータは破棄することになります。

いずれにせよ、これらの処理は連動1をすることによって新たに発生してしまった処理ということになります。連動のさせ方にもよりますが、手間を省こうとしたら本来必要のなかった作業が増えてしまうことがあります。ちなみに、「診療予約2013」は約90%を占める「再診」の患者データ一括インポートに特化することによって、シンプルかつ効果的な運用を提案しています。

連動2. 受付処理の連動
受付処理の連動とは、本来は予約システムとレセコン・電カル側の両方で行う「来院受付」処理を、どちらか一方だけで済ませるための連動のことです。連動1を前提とすると、レセコンで作成した患者をレセコンで受付処理をしたら、予約システム側にも受付処理がなされるかたちになると思います。これも一見この流れで問題はないような気がします。しかしレセコン側で患者データを作成するまで、予約システム側で来院受付できないとしたらどうでしょうか?そういう仕組みだった場合、レセコンで完全な患者データを登録するまで「待ち順」は確定せず「待ち時間」の計算も始まらないはずです。

私は順番待ちの診療予約システムの存在意義の1つは「待ち時間の計算」であると考えています。この計算ができるだけ正確に行われることが、患者さんの院内待ち時間を減らし、予約システムの便利さを実感していただくための肝となるのです。予約システム単体であれば「氏名」「診察内容」さえわかれば、順番待ちの受付ができます。つまり保険証を出していただいたら10秒でエントリーが完了し、正しい待ち順・待ち時間計算が開始されることになります。一方で、レセコンへの患者データ登録は問診票などを書いてもらってからでないとできないため、その間にネットから順番待ちが入ってきたら順番は抜かされてしまいます。ネット順番待ちを導入するからには、この点は注意しないといけません。

連動3. 完了データの連動
これは前回説明したとおりですので、簡単にご説明します。電子カルテで「診察完了」処理を行ったら、会計に入るためレセコンと連動する必要はありますが、予約システムと連動する必要はありません。というのは、予約システムは順番の管理と待ち時間を計算をするものであり、その際に「診察完了」という情報は使わないからです。待ち時間を計算するのに必要なのは「診察完了」ではなく「次の患者さんが診察開始」になったという情報です。なぜなら、この方が正確な待ち時間が計算されるからです。完了データは「お会計していいよ」という情報であって、予約システム側で使うところはないはずです。そのため「診療予約2013」には「診察完了」というステータス自体存在しません。もし予約システム側にその「完了」ステータスが存在し、本当は必要ないのに毎回スタッフが押しているとしたら、そのシステムは無駄な手間のかかるシステムなのではないでしょうか。

以上見てきたとおり、順番待ち制においても診療予約システムとレセコン・電カルの連動は、想像しているほど手間が省ける仕組みではないように思います。医療システムは連携するのが当たり前だというのはレセプトコンピュータと電子カルテ間では理解できます。しかし、予約システムは一時的な「順番を管理したり」、リアルタイムで「待ち時間を計算する」ためのシステムです。これとレセコン・電カルを連動させることで、その本来の目的を果たせなくなったり、思ったほど省力化されないのであればわざわざ数十万円の費用をかけて連動する必要があるでしょうか?費用対効果も考えたうえで、ご検討をいただければと思います。

それではまた、次回のエントリーで。
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関連サイト: レセコン連動できなくても全然問題ない【前篇】
関連サイト: レセコン連動できなくても全然問題ない【後編】

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レセコン・電カル連動を費用対効果で考える(予約制版)

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今回は「診療予約システム」と「レセコン・電子カルテ」のシステム連動は必要かどうかについて書いてみたいと思います。

実は「診療予約2013」は、レセプトコンピュータや電子カルテとの連動・連携を行っていません。というのは、連動・連携という言葉からイメージするほどのメリットがクリニック側になく、設定等にかかる費用に比べるとその効果がとても薄いと考えているからです。診療予約システムとレセコン・電カルを連動させることによって、「入力の手間が省ける」「ボタン操作が減る」などのメリットがあると考えている方も、実際それがどのぐらいの分量なのか、また反対にデメリットは無いのかまではじっくり検討されていないように思います。そこで今回は「予約制」の運用に絞って、実際にどんなメリット・デメリットがあるのかをご覧いただきたいと思います。

連動1. 患者データの連動
診療予約システムにもレセコン・電カルにも「患者データ」が存在します。これを連携させることによって、データ入力の二度手間を回避できるのではというのが患者データ連動の趣旨です。では、実際には何がどのぐらい減るのでしょうか?

実は予約を取る際に、予約システムに最低限必要な患者データは「氏名」だけです。予約システムには「診察券番号」「生年月日」「電話番号」などを登録することはできますが、これらは必須ではありません。なぜならこれらの情報は予約システムには無くても、運用には支障がないからです。予約を取る際には「氏名」「日時」「診療内容」だけあればよく、そのうち患者データにあたるのは「氏名」だけなのです。そういうわけで、レセコン・電カルと連動するのが実際は「氏名(よみがな)」だけかもしれないのですが、これで省力化に大きな効果があるでしょうか。もしかしたら、レセコン・電カルに入っているようなすべての患者データを、予約システムにも重複登録しなくてはならないと思っていませんか?そもそもそんな必要はないのです。

次にデータ連動の方向を逆にしてみましょう。すなわち、レセコン・電子カルテに入っている既存患者の完全なデータが予約システム側にトスされるわけです。これなら診察券番号などが自動で入って便利かもしれませんね。しかし、よく考えると都度データ連動をする必要はなく、既存患者データは運用開始前に「インポート」してしまえばいいのです。「診療予約2013」は「連動・連携」はしませんが「インポート機能」は持っていますので、都度連動するよりもむしろスマートだと思います。

そうすると、連動のメリットがあり得るのは「新患」だけの話になります。しかし、新患がネットから入ってきた場合は、実は患者さんが「氏名」「生年月日」「電話番号」を登録してくれるので、スタッフが予約システムに登録する必要はありません。長くなりましたが、要するに「新患かつネット予約を使わなかった患者さん」の時だけ、「診察券番号」などの3項目のデータ連動がなされることになります。ただし繰り返しになりますが、これら3つの情報は「予約システムには無くても、運用に支障がない」データになります。よってレセコン・電カルから予約システムにトスする必要性は本質的にはありません。こうして見た時、果たしてどれぐらいのメリットを感じることができるでしょうか?

連動2. 受付処理の連動
次に、受付処理の連動を見てみましょう。受付処理の連動とは、予約システム側で受付処理を行うと、レセコン・電子カルテ側でも受付処理がなされることです。受付ボタン押下のひと手間を省くイメージですが、無いよりはあったほうがよさそうですね。しかし、そのために別の手間が増えるとしたらどうでしょうか。これも少し複雑なので、段階的にご説明させていただきます。

大前提として、この連携を行う場合には、双方の患者データを「診察券番号」などで照合して、どの受付データを処理するかシステムに判断させる必要があります。予約システムにAさんという患者データがあった場合、それがレセコン・電カルのAさんと同一人物だと判断できなければ「受付処理」の連動はできないからです。

再来の患者さんについては、連動1でみたインポート機能を用いて、予約システムとレセコン・電カルの患者データを一致させておくことができるので、問題なく連携できそうです。

しかし、新患の場合は次のような流れで処理するしかありません。すなわち、①予約時に予約システムで患者データを作成 ②来院受付時にレセコンでも患者データを作成 ③受付処理の連動をするためには両データのマッチング処理が必要 もしくは マッチングせず予約システムの患者データを削除(ともに手動) ④受付処理が連動 という流れです。③のマッチング処理orデータ削除処理は④をするために必要なのですが、そもそも連動をしなければ必要のない処理です。システム連携で手間を減らそうとしたら、なぜか一手間増えてしまいました。特に新規開業時はすべて新患なので、全員手動でマッチング処理が必要になってしまいます。

予約システム単体であれば必要なかった処理が、連携させようとしたせいで増えてしまうのなら、はじめから別々のものとして運用すればいいのではと思います。紙の予約表と、レセコン・電カルが連動?していなくてもそれぞれの運用に問題がなかったように・・・。

連動3. 完了データの連動
完了データの連動を謳っている診療予約システムがありますが、私が知る限りこれにはまったく意味がありません。完了データの連動とは、電カル側で「診察完了」処理を行うとそれが予約システム側にも反映されるという連動のことです。これは全く意味がありませんので不要だと思います。

なぜなら、予約システムには「完了」というステータスが必要ないからです。もし完了データを予約システムに反映させることで、次の患者さんを「診察開始」ステータスにするとしても、次の患者さんが一時外出などで居なかったら間違った処理になってしまいます。よって、この連動には何のメリットも無いと思います。

以上、よくある3つのシステム連動について細かく見てきました。現時点では、診療予約システムとレセコン・電子カルテの連携を前提と考えておられる医師の方も多いかもしれません。しかし、よく考えてみるとメリットといえるようなものはあまり無く、連動しようとするから余計な処理まで必要になってしまっているように見えます。そこに数十万円の費用をかけるべきなのか、今一度、費用対効果の面から検証してみることをおすすめします。

P.S. 今回は、あえてシステム連携による「セキュリティ」の問題や、連携しているシステムが止まった場合、どう運用するのかという「障害対応」の問題については触れませんでした。これらのデメリットについても、機会があればまとめてみたいと思います。

それではまた、次回のエントリーで。
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関連サイト: レセコン連動できなくても全然問題ない【前篇】
関連サイト: レセコン連動できなくても全然問題ない【後編】

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