時間帯予約制をとると起こるおもしろい現象

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それでは、早速はじめましょう!

今回は、時間帯予約制をとっているクリニックで起こる、あるおもしろい現象についてです。

時間帯予約制とは、例えば「9:00~9:30に開始の予約」のように時間に幅をもって取っていただく予約制のことです。レストランや美容室などの一般的な予約制で9:00の予約といえば、9:00からサービスを受けられるはずですが、時間帯予約制の「9:00の予約」は複数の患者さんが取っており、その中で受付順に案内されていく仕組みになっています。よって、9:00に来院した際に順番が3番目であれば、当然9:00には診察してもらうことができません。

一般的な予約制しか経験していない患者さんにとっては、「9:00の予約って言われたから来たのに、9:25開始だった」ということで不満を感じることもあり得ます。そのため、時間帯予約制を浸透させるにはスタッフによる説明などの一定の努力が必要になります。すなわち、「当院は30分単位の時間帯予約制です。例えば、9:00の予約ではなく、9:00~9:30の時間帯の予約ということになります。」のような説明が必要になるのです。一方で、多くの患者さんが病院・クリニックでは多少待つことは前提としているので、初診時に説明すれば予約の度に説明する必要はないでしょう。

そして、この時間帯予約制の運用を続けていると、次のような面白い現象が起こり始めます。

それは、9:00の予約の患者さんが、8:50~9:20ぐらいの間に分散して来院するようになるという現象です。

皆さん9:00の予約なので、本来であれば9:00前後にいらっしゃるはずなのですが、「早く行って、1番に診てもらおう」という患者さんと、「あえて遅れて、待たずにすぐに診てもらおう」という患者さん、そして特に何も考えずに普通に来院される患者さんに徐々に分かれてくるのです。

これは、患者さんが自らの判断で「院内待ち時間を最短にする行動」を取りはじめるということではないかと私は思います。

「待ち時間の原因は患者さんの数よりも偏りにあり」のエントリーでも紹介したとおり、院内待ち時間が長くなる原因は、患者さんが同じ時間に集中してしまうことです。例えば、9:00~9:30の予約を取った患者さんが、全員9:00に来院してしまうとのべ待ち時間が一番長くなります。逆に来院時刻が分散するとそれぞれの院内待ち時間が短縮されます。このような経験と試行錯誤によって、次第に患者さんが「早い人」「普通の人」「遅い人」に分かれていき、結果的に分散して来院するようになると考えられます。

当然、時期や時間帯によって、混み具合などは変わります。しかし、患者さんがそれぞれ最適と考える来院時間を選択し、その結果うまく来院時間が分散されてくると、それぞれがその行動を変える理由がなくなってきます。例えば、「あえて遅く来院派」の患者さんが、いつもより早く来院すると偏りが生まれ、自分の待ち時間が長くなる可能性が高いからです。このようにして次第に、分散された状態が定着するようになるのではないでしょうか。

この状態になった時に面白いのは、まず「全体の院内待ち時間が最短になること」であり、もう1つは「予約制のはずなのに、まるで順番待ち制と同じに見える」いうことです。この点については、また別の機会にまとめてみたいと思います。

それではまた、次回のエントリーで。
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■ 時間帯予約制についての詳細はこちらのスライドで!

過去記事: 過去の記事一覧はこちらから 

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参考記事: 待ち時間対策としての時間帯予約システム

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