レセコン・電カル連動を費用対効果で考える(順番待ち版)

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それでは、早速はじめましょう!

今回も前回に引き続き、診療予約システムとレセプトコンピュータ・電子カルテとのデータ連動について、「順番待ち制」のクリニックの場合で見てみたいと思います。

連動1. 患者データの連動
患者データの連動とは、予約システムで作成する患者さんのデータと、レセコン・電カルで作成する患者さんのデータの重複登録を避けるために、一方で作成したデータを他方にコピーするということです。前回ご説明したとおり、既存患者さんのデータは予約システム運用開始前に「一括インポート」すればよいので、この話は「新患」だけが対象となります。順番待ち制の場合、患者さんは直接来院されますので、レセコン側で患者データを作成をすると予約システムにも患者データがコピーされるというのが一般的でしょう。一見この流れで問題はないような気がします。

しかし、「ネットから順番待ちした新患」はどうでしょうか。ネットから順番待ちする新患は、「氏名」「生年月日」「連絡先」などを登録するようになっているはずです。この場合、来院されたらレセコンでも新患登録して、「A. 患者さんが登録した予約システム側のデータと紐付ける(マッチング)」か、「B. 患者さんが登録したデータは捨てる」という処理が必要になってきます。

診療予約システムとレセコン・電カル連動のマトリックス

なお、このA.B2つのパターンは、診療予約システムが患者さんのメールアドレスを取得するタイプか、そうでないかによって分れます。メアドを取るシステムの場合は、患者さんがつくった患者データの中にアドレスがあり、レセコンのデータにも共有する必要があるためマッチング処理となります。メアドを取らないシステムの場合は、スタッフがレセコンに登録する患者データを「正」として、患者さんが作成したデータは破棄することになります。

いずれにせよ、これらの処理は連動1をすることによって新たに発生してしまった処理ということになります。連動のさせ方にもよりますが、手間を省こうとしたら本来必要のなかった作業が増えてしまうことがあります。ちなみに、「診療予約2013」は約90%を占める「再診」の患者データ一括インポートに特化することによって、シンプルかつ効果的な運用を提案しています。

連動2. 受付処理の連動
受付処理の連動とは、本来は予約システムとレセコン・電カル側の両方で行う「来院受付」処理を、どちらか一方だけで済ませるための連動のことです。連動1を前提とすると、レセコンで作成した患者をレセコンで受付処理をしたら、予約システム側にも受付処理がなされるかたちになると思います。これも一見この流れで問題はないような気がします。しかしレセコン側で患者データを作成するまで、予約システム側で来院受付できないとしたらどうでしょうか?そういう仕組みだった場合、レセコンで完全な患者データを登録するまで「待ち順」は確定せず「待ち時間」の計算も始まらないはずです。

私は順番待ちの診療予約システムの存在意義の1つは「待ち時間の計算」であると考えています。この計算ができるだけ正確に行われることが、患者さんの院内待ち時間を減らし、予約システムの便利さを実感していただくための肝となるのです。予約システム単体であれば「氏名」「診察内容」さえわかれば、順番待ちの受付ができます。つまり保険証を出していただいたら10秒でエントリーが完了し、正しい待ち順・待ち時間計算が開始されることになります。一方で、レセコンへの患者データ登録は問診票などを書いてもらってからでないとできないため、その間にネットから順番待ちが入ってきたら順番は抜かされてしまいます。ネット順番待ちを導入するからには、この点は注意しないといけません。

連動3. 完了データの連動
これは前回説明したとおりですので、簡単にご説明します。電子カルテで「診察完了」処理を行ったら、会計に入るためレセコンと連動する必要はありますが、予約システムと連動する必要はありません。というのは、予約システムは順番の管理と待ち時間を計算をするものであり、その際に「診察完了」という情報は使わないからです。待ち時間を計算するのに必要なのは「診察完了」ではなく「次の患者さんが診察開始」になったという情報です。なぜなら、この方が正確な待ち時間が計算されるからです。完了データは「お会計していいよ」という情報であって、予約システム側で使うところはないはずです。そのため「診療予約2013」には「診察完了」というステータス自体存在しません。もし予約システム側にその「完了」ステータスが存在し、本当は必要ないのに毎回スタッフが押しているとしたら、そのシステムは無駄な手間のかかるシステムなのではないでしょうか。

以上見てきたとおり、順番待ち制においても診療予約システムとレセコン・電カルの連動は、想像しているほど手間が省ける仕組みではないように思います。医療システムは連携するのが当たり前だというのはレセプトコンピュータと電子カルテ間では理解できます。しかし、予約システムは一時的な「順番を管理したり」、リアルタイムで「待ち時間を計算する」ためのシステムです。これとレセコン・電カルを連動させることで、その本来の目的を果たせなくなったり、思ったほど省力化されないのであればわざわざ数十万円の費用をかけて連動する必要があるでしょうか?費用対効果も考えたうえで、ご検討をいただければと思います。

それではまた、次回のエントリーで。
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関連サイト: レセコン連動できなくても全然問題ない【後編】

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