クリニックの受付運用に潜むボトルネック

診療予約システムをお探しですか?
それでは、早速はじめましょう!

今回は、眼科や整形外科などで発生する、「検査の後に診察を行う」場合の運用についてです。実は、診療予約システムを使うか使わざるかにかかわらず運用の注意点がありますので、ご紹介したいと思います。

わかりやすいように、以下のような単純化された運用ケースで見てみましょう。

・どの患者さんも必ず検査のあとに、診察を行う。
・所要時間は検査3分、診察5分とする。
・検査は前の人が終わり次第、ご案内して行う。

さて、患者さんが途切れなくいらっしゃったと仮定して、60分間の状況を想像してみてください。何か問題が起こるでしょうか?

60分後には20人の方が検査を終えているはずですが、診察が終わっているのは11名だけです。では後の9人はどうなっているのでしょうか?

12人目の人は、33分経過時点で検査を開始し、36分に検査終了して診察を待っている状態です。ということは24分間待っているということになります。典型的なシチュエーションで言うと、「中待合で待たされている」状態です。

さらに少し考えてみましょう。もしかしたら12人目の患者さんが来院したのは、30分経過時点かもしれません。要するに、来院してすぐに検査に入れたのでラッキーと思ったら、中待合で24分も待ったということもあり得るのです。患者さんのモヤモヤした不満が伝わってきそうな状況です。

しかし、「待合室で待つのも、中待合室で待つのも同じだから、問題ないのではないか?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。これはおっしゃる通りですが、診療予約システムの運用が絡んでくると、その限りではないので注意が必要なのです。

というのは、このまま運用してしまうと、「もうすぐ診察お知らせメール」が送られるタイミングが適切でなくなってしまい、結局院内待ち時間が長くなってしまうからです。ここは細かいので詳細は割愛しますが、「中待合」で待つ時間を勘案してメールが送られればいいのですが、システム上は「待合室」の待ち時間しかわからないため、適切なタイミングより早くメールが送信されてしまいます。そのため、患者さんが早く来院してしまい、結果的に院内待ち時間の短縮が図れなくなくなってしまうのです。

では、どうしたらこの状況を回避できるのでしょうか。

実はこれはTOC(制約理論)の考え方の基本となるもので、「ボトルネック(ここでは診察)の前工程に、ボトルネックの処理量を超える処理をさせてしまうと、ボトルネックの前に待ちが発生する状態」そのものです。

受付運用に潜むボトルネック

この場合の解決策は、ボトルネックの前工程にボトルネックの処理量と同じ量の処理をさせることです。このケースでいうと、キャパシティとしては検査は3分に1名できますが、あえてそ5分に1名しか行わないようにするのです。一見非効率に思えますが、結局1日に診られる患者さんの数は変わりません。なぜなら全体の処理量はボトルネックの処理量によって制約されてしまうからです。これにより、中待合の渋滞が解消し、待合室での待ち時間だけを頼りにして、正しく予約システムのお知らせメールを稼働させることができるのです。

実際の運用のイメージとしては、診察が終わる度に新しく検査に入ってもらうというかたちが理想的だと思います。

当然実際の運用では、検査の時間も診察の時間もぶれますので、中待合にバッファをもたせる意味で1~2名の患者さんに待っていただくのがよいでしょう。しかし、中待合の待ち時間を最適化するためには、検査は次々に行うのではなく、ボトルネックの処理量を超えないように行う必要があるのです。

それではまた、次回のエントリーで。
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追記: 実際にはこの状況を運用で回避する方法がもう1つありますが、長くなってしまうのでまた機会があれば書いてみたいと思います。

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