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待ち時間と診療予約システムについて

知っている医師は始めている、時間帯予約制で待ち時間を減らす方法

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前回のエントリーで、予約優先制をとっていると必ず発生する問題についてまとめました。今回は、その解決策としてふれた「時間帯予約制」の運用について書いてみたいと思います。

まず予約優先制と時間帯予約制の違いを理解するために、運用の違いを箇条書きにしてみます。

■ 予約優先制
・時間指定の予約
予約者は、「10:00の予約」などきっちり時間が決まっているものとして来院する。
・予約を優先
予約者は予約時間がきたら優先的に診察され、予約なしの患者はその間に診察となる。
・予約者リストと順番待ちの列の2列で管理
予約ありと予約なしの患者はそれぞれ別で管理する。

■ 時間帯予約制
・時間帯の予約
予約者は、「10:00~10:30の予約」のように幅をもたせた時間帯で予約をしているものとして来院する。
・予約優先ではない
予約なしの患者は、空いている直近の予約枠にあたかも予約を取ったかのように受付する。同じ時間帯内では予約ありを優先しなくてもよく、受付順で診察する。
・予約者と順番待ちを1列で管理
予約ありと予約なしの患者は、受付時点で同じ列で管理する(予約表で一元管理)

予約優先制では、予約者と順番待ちの列を別々で管理しているため、各患者さんの待ち時間を計算できません。なぜなら、予約者と順番待ちの列を状況に合わせて”やり繰り”しているため、患者さんの順番は固定されず常に変動する可能性があるからです。この「状況に合わせてやり繰りする」部分が予約優先制の問題の本質であり、患者さんのクレームが起こる原因となるものです。

そこで時間帯予約制では、予約のあり・なしに関わらず、来院した時点で「その時間帯内の順番」を付与してしまいます。そうすることで来院している患者さんすべての待ち時間が計算できるようになると同時に、待ち時間が異常に長くなることを防ぐことができるようになります。なぜなら、待ち時間が異常に長くなるのは、予約者を優先するために予約なし患者の「順番」を変動させていることが原因だったからです。

予約優先制というのは、患者の数が少ないうちはうまく運用できますし、予約をしてくれた患者さんを優先的に診察してあげたいという考え方や気持ちには共感します。しかし、患者さんが増えてきたときにはその「予約者を優先したい」という善意が、むしろ患者さんの待ち時間を長くしたり、クレームを生む原因となってしまうのです。

考え方を変えると、予約優先制で「待ち時間の問題が顕著になってきた」「クレームが増えてきた」というのはポジティブなメッセージでもあります。つまり、患者さんが増えなければ、予約優先制でも十分運用できるわけですから、それがうまくいかないということは、患者さんの数が閾値を超えたことを意味するからです。そして、たくさんの患者さんに必要とされ、次のステージに上がる必要のあるクリニックにとって、時間帯予約制は最も適した運用であると思います。

時間帯予約制というのは知っている人は知っていますが、知らないと一見運用しづらそうに感じます。しかし、基本的にはとてもシンプルな運用ですので、もし予約制で待ち時間の問題に悩まれている場合は、ぜひ導入を検討してみてください。ちなみに運用変更は診療予約システムを利用しなくてもできますが、「診療予約2013 時間帯予約版」をご利用いただけるとよりスムーズに移行できます。ここに紹介しきれない詳しい運用方法などをご提案させていただきますので、ぜひ当社までお問合せください。

それではまた、次回のエントリーで。
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■ 時間帯予約制の詳細はこちらのスライドでチェック!

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予約優先制のクリニックで待ち時間が長くなるメカニズム

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今回は予約優先制のクリニックで待ち時間が長くなる理由について、その仕組みを解説します。

予約優先制というのは、前日までは予約を受付け、当日予約のない患者さんは受付順に診察していく運用のことです。この運用をしているクリニックで待ち時間が異常に長くなってしまい、クレームが頻発してしまうことがあります。もちろん予約優先制に限らず、待ち時間の問題は発生しますが、予約優先制の場合にはクレームに繋がるような大きな問題が起こりがちです。ではなぜ予約優先制の運用では、このような大きな問題が発生するのでしょうか?

予約優先制の運用は下記の手順になっているはずです。

1. 前日までは予約を受付け(電話や次回予約など)
2. 当日、予約者はできるだけ予約時刻に診察開始する
3. 当日、直接来院される患者は受付順番制で診察していく

要するに当日は、予約と予約の合間の時間に、直接来院した患者さんを診ているというイメージになります。

この方法は、クリニックが混んでいない場合は何の問題もなく運用することができます。それは予約者と次の時間帯の予約者の間に十分時間があり、直接来院された患者さんもドンドン診てもらえる状態が続くからです。当日順番待ちの患者さんが増える速度よりも、診察するスピードが速い場合、順番待ちの患者の列は伸びないので、待ち時間が異常に長くなることはありません。予約優先制は、このようにスムーズに運用できているうちは何の問題もないのです。

ところが、少しの差でこの運用に狂いが生じてしまいます。そして一旦スムーズな運用が狂ってしまうと、次々に予約患者さんの診察時間が来てしまい、順番待ちしている患者さんをまったく診れなくなってしまうのです。こうなると、順番待ちの列は伸びる一方ですので、待ち時間が異常に長くなってしまいます。しかも、いつになったらこの状態が解消するかわからないので、患者さんには「あと〇分ぐらい」と言うこともできません。言えたとしても、ただの推測にすぎないため、「言われた時間と違う!」ということでさらにクレームを助長する可能性すらあります。

最悪なのは、この状態になってしまった時に順番待ちの患者さんがしびれを切らしているのを見て、予約患者の時間なのに順番待ちの患者さんを先に案内してしまったりすることです。これをしてしまうと、今度は予約者からの大クレームになってしまいます。これが予約優先制でのクレーム発生のメカニズムです。

では、スムーズだった運用がこのようにうまくいかなくなってしまうのはなぜでしょうか?その1つは「診察の遅れ」、もう1つは「患者さんの絶対数が増えてくる」、最後が「患者さんが偏って来院すること」です。

1. 診察の遅れ
通常1名あたり10分を見込んでいた場合でも、症状等によって20~30分かかってしまうことが稀にあります。この間に、順番待ちの列が伸びてしまいます。遅れた時間は基本的には取り返せないので、次々に予約時間がやってくることになります。こうして順番待ちの長い列は、延々と待たされることになります。

2. 患者さんの絶対数が増えてくる
患者さんの絶対数が増えると、この問題が起こりやすくなります。患者数が増えると、予約数も増えてきます。そうすると、予約者間の空き時間が短くなり、その間に診られる当日順番待ちの患者さんの数が減ります。来院数が多くなると処理が追いつかなくなり、患者さんの列が長くなってしまいます。

3. 患者さんが偏って来院する
「待ち時間の原因は患者さんの数よりも偏りにあり」というエントリーでも紹介したとおり、待ち時間を左右するのは患者さんの絶対数よりも来院タイミングの偏りです。たまたま同じ時間に直接来院された患者さんの数が多いと、一気に列が長くなります。この増加に診察のスピードが追い付かないと、予約者の順番がやってきてしまい、問題を発生させてしまうのです。

実際の現場では、以上の3つの状況が複合的に合わさって、異常に長い待ち時間が発生することになります。しかもこれらの3つは、クリニック側でコントロールできないものばかりです。そのため予約優先制という運用方法は、これらの問題が起こってしまうことに全く無力だと言えます。「今までうまくいっていたのになぜ?」という先生や受付スタッフも多いですが、今までは順番待ちの患者さんの数よりも、患者さんを診るスピードがたまたま速かっただけなのです。

こうなってしまったら、診療予約システムを導入するだけでは問題は解決しません。何故なら、同じ運用にシステムを乗せても対症療法でしかなく、根本的な問題を解決しない限りクレームは起こるからです。

この解決方法は、予約優先制という運用をやめ、「時間帯予約制」という運用に変えることです。次回はこの「時間帯予約制」の運用についてご説明したいと思います。

それではまた、次回のエントリーで。
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患者さんの予想待ち時間と我慢できる待ち時間

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今回は、診療所・病院の待ち時間に関する論文の中で、面白いデータがあったのでご紹介したいと思います。

>> 論文はこちら
※残念ながら2017年7月に論文が削除されてしまいました。

面白いデータというのは患者さんが予想する待ち時間と、患者さんが我慢できる待ち時間を調査したものです。

1. 予想する待ち時間
この調査では、予約の有無によって患者さんが予想する待ち時間が変わるかどうかを調べています。当然、予約ありのほうが無しの場合より短くなると予想するわけですが、予想する分数が結構面白いなと思います。

患者さんの予想待ち時間

まず、「予約あり」についてですが、予約をしても20分以上は待つだろうと考えているという点が興味深いです。医療業界の予約というのは、患者さんから見るとこの程度の待ち時間は織り込み済みということですが、逆にいうとこれより短いと「満足」につながる可能性があるということです。

時間帯予約制をうまく運用すると、全体に大きな遅れが出ない限り、20分以上お待たせすることは稀になると思います。また、通常は予約が取れない受付順番制でも診療予約システムを導入すればネット予約が可能になり、院内待ち時間は平均で15分程度になります。これならば、ほぼ患者さんの予想より早く診察を開始することができるはずです。毎回思ったより待ち時間が短いと感じるクリニックと、予想より待たされるクリニックとでは、患者満足度に大きな差が開いてくるはずです。

またデータによると、通常は予約のできない受付順番制では、患者さんは40分程度待たなくてはならないと考えているはずです。ところが診療予約システムがあれば、予約が可能になり待ち時間も平均で15分程度となるため、劇的に印象が良くなるはずです。

2. 我慢できる待ち時間
この調査では、症状の軽重によって我慢できる待ち時間が変わるかどうかを調べています。

患者さんが我慢できる待ち時間

ここで見ておきたいのは症状が軽い患者さんの待ち時間の許容範囲です。診療所では約50分、病院で約60分ですので、この限界を越えないようにすることが不満やクレームを抑える目安になるはずです。

時間帯予約制の運用のメリットの1つは、実は待ち時間のブレが少なくなることです。この点については、予約優先制と時間帯予約制の比較の中で詳述していますので、是非確認いただければと思います。

また、受付順番制においても予約システムを導入することによって待ち時間のブレが少なくなります。当社が行った調査では、ネットで順番待ちした患者さんの待ち時間は0~28分程度に収まるのに対し、ネット順番待ちをしなかった患者さんは0~51分と患者さんによるブレが大きくなっていることが確認されました。このようにネット順番待ちをして診察開始予定が近づいたら来院するという仕組みそのものが、待ち時間を短くするとともに待ち時間のブレ幅を狭める効果を持っているのです。

今回は、患者さんの予想している待ち時間と、我慢できる待ち時間のデータを見ながら、診療予約システムや時間帯予約制の運用がどのような効果を発揮できるかを見てきました。患者さんの待ち時間や満足度向上が気になる先生がいましたら、是非、当社までご相談ください。ご連絡お待ちしております。

それではまた、次回のエントリーで。
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直接来院とネット順番待ちとの待ち時間の違い

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受付順番制のクリニックで診療予約システムを利用した場合、待ち時間にどのぐらい違いが出てくるかをまとめたいと思います。

まずネット順番待ちの患者さんの平均院内待ち時間ですが、多くの場合に約15分になります。ネット順番待ちを利用すると、自分の診察開始予定時刻が近づくまで自宅や外で時間を調整することができます。よって、普通に来院される方よりも待ち時間は短くなります。

また、待ち時間の分布でいうと1~30分の間になり、10分以下の患者さんは約25%程度になります。いくら長くても30分を超えることはほとんどなく、待ち時間の振れ幅が比較的狭くなるということが挙げられます。

さらに、ネット順番待ちというのは、当日の患者さんの数や来院タイミングの偏りに左右されにくいという特徴もあります。つまり、ネット順番待ちをする患者さんは、各自の診察開始予定時刻に合わせて来院されるので、院内待ち時間は混雑具合の影響を受けないということです。

一方、直接来院された患者さんの待ち時間は、その日の患者さんの絶対数や来院タイミングの偏り具合によって大きく変わってしまいます。そのため、平均をとることにあまり意味がありませんが、大体の場合30分以上にはなってしまいます。分布としては、1~60分と幅が広がり、長いときには90分ということもあり得ます。このように院内待ち時間の個人差が大きくなってしまうことがあるのが、直接来院の待ち時間の特徴です。

以上をまとめると、

1. ネット順番待ちは患者さんが自分で待ち時間をコントロールできるが、直接来院の患者さんは待ち時間をコントロールすることができない。

2. 結果として、ネット順番待ちでは待ち時間の大幅なブレが少なくなる。
(1~90分が1~30分に)

3. また、ネット順番待ちでは平均院内待ち時間は大幅に短縮される。
(30分以上が15分程度に)
 
見てきたように、ネット順番待ちというは患者さんにとって大変メリットのある仕組みです。順番待ち制のクリニックで、待ち時間の長さや、日毎・患者ごとの待ち時間の振れ幅の大きさにお悩みの場合は、是非診療予約システムの導入をご検討ください。きっと患者さんに喜んでいただけると思います。

それではまた、次回のエントリーで。
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キーワード: 開院待ち,行列,オープン前,受付開始時刻,受付け開始前,待ち時間の差,違い

時間帯予約制をとると起こる面白い現象 その2 

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以前、「時間帯予約制をとると起こるおもしろい現象」という記事で、書き残したことがあったので今日はそれをまとめたいと思います。

前回は、時間帯予約制をとってしばらくすると、患者さんの来院タイミングが勝手に分散してくる現象について書きました。

この状態を客観的にみると、興味深い点が2つあります。

1つ目は、この状態になると全体の院内待ち時間が最短になるということです。

「待ち時間の原因は患者さんの数より偏りにあり」でも紹介したとおり、患者さんがあるタイミングに偏って来院してしまうと、のべ待ち時間がすごく長くなってしまいます。予約制をとるということは、予約時間になったら患者さんが来院するということですので、普通は各時間帯の開始時刻に来院が集中するはずです。

よって、院内待ち時間は比較的長くなるはずなのですが、前回説明したのはまさにこのケースにおいて、患者毎に来院タイミングが「早い派」「普通派」「遅い派」に分かれる現象についてでした。よって院内待ち時間は長くなるどころか、分散することによって最短になるのです。

私の仮説が正しければ、患者さんは試行錯誤の中で、「早く行くのがいい(待ち時間が短くなるから)」「普通に行けばいい(待ち時間が短くなるから)」「あえて遅く行くのがいい(待ち時間が短くなるから)」とそれぞれ行動を変化させ、結果的に待ち時間の最適化、最小化につながるということです。

2つ目は、この状態を客観的に見ると、予約制なのに受付順番制の運用をしているように見えるということです。繰り返しになりますが、予約制をとるということは各時間帯の開始時刻に来院が集中するはずです。しかし、この状態になると、患者さんはまるで計ったかのように少しずつずれて来院されます。そしてこれは、受付順番制でネット予約を使って院内待ち時間を短くする手法とまったく同じことが起こっているのです。

受付順番制でネット予約を導入するメリットは、待ち時間を見える化し、患者さんが自分の意思で来院タイミングを調整し、院内待ち時間を短縮できるようにすることです。例えば、自宅から10分のクリニックにネット順番待ちし、15分前に「もうすぐ診察お知らせメール」が届くようにしておくことによって、診察5分前にクリニックに到着するのです。この仕組みを患者さんが使い出すと、来院タイミングが分散されるようになります。患者さんはみな5~10分前にクリニックに来ようとするので、それぞれの来院間隔もだいたい同じになってきます。このようして院内待ち時間を短縮しようとするのが、順番待ち制における診療予約システムの役割です。

時間帯予約制をとって来院タイミングが平準化した状態は、これとまったく同じメカニズムです。順番待ちと予約制という相容れない運用方法をとっているにもかかわらず、同じ仕組みで待ち時間が短縮されるのは本当に面白いと思います。

このように予約制をとっていても受付順番制をとっていても、待ち時間の短縮は可能です。ぜひ、診療予約システムを活用して、院内待ち時間対策を行ってみてください。

それではまた、次回のエントリーで。
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